
住宅ローンを組むときに多くの人が悩むのが、「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶかです。長く続いた低金利の時代が終わり、日本銀行の利上げによって住宅ローン金利は上昇傾向にあります。この記事では、変動金利と固定金利の仕組みと違い、金利上昇時代の選び方のポイントを解説します。
変動金利と固定金利の違い
変動金利
変動金利は、借りている期間中に金利が見直されるタイプです。多くの金融機関では半年ごとに金利が見直され、主に短期プライムレートに連動します。固定金利より金利が低く設定されているのが一般的で、借入当初の返済額を抑えられるのがメリットです。一方で、将来金利が上がれば返済額が増えるリスクがあります。
全期間固定金利
借入時の金利が完済まで変わらないタイプです。代表的な商品が、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する「フラット35」です。毎月の返済額が最後まで変わらないため、将来の計画を立てやすいのが最大のメリット。ただし、変動金利より金利が高めに設定されています。
固定期間選択型
3年、5年、10年など、一定期間だけ金利が固定されるタイプです。固定期間が終わると、その時点の金利で変動金利か再度の固定金利かを選びます。一定期間の安心感と、比較的低い金利のバランスを取りたい人に向いています。
金利をめぐる最近の動き
日本銀行は2024年にマイナス金利政策を解除し、その後も段階的に政策金利を引き上げてきました。2025年1月に0.5%、2025年12月に0.75%、2026年6月には1.0%へと引き上げられています。
こうした流れを受けて、長期金利に連動する固定金利は上昇が続いています。2026年6月時点で、大手銀行の10年固定の最優遇金利はおおむね3%台、フラット35(借入期間21〜35年、融資率9割以下)は3.210%となり、2023年秋の1%台後半から大きく上昇しました。一方、変動金利は大手銀行で0.9%台など低い水準を維持していますが、政策金利の引き上げに伴い、今後上昇する可能性があります。
※金利は毎月変わり、金融機関や審査結果によっても異なります。最新の金利は各金融機関で必ず確認してください。
変動金利の「5年ルール」と「125%ルール」
変動金利を選ぶなら、返済額の変わり方についても知っておきましょう。多くの金融機関では次のルールが採用されています。
- 5年ルール:金利が上がっても、毎月の返済額は5年間変わらない仕組み。
- 125%ルール:5年後に返済額が見直される場合でも、それまでの返済額の1.25倍までに抑えられる仕組み。
一見安心に思えますが、返済額が変わらない間も金利の上昇分は利息に反映されます。そのため、返済額のうち元金に充てられる割合が減り、ローン残高が思うように減らなかったり、最悪の場合は利息を払いきれない「未払利息」が発生したりする可能性があります。また、ネット銀行などではこれらのルールを採用していない場合もあるため、契約前に必ず確認しましょう。
どちらを選ぶ?判断のポイント
固定金利が向いている人
- 子どもの教育費など、今後大きな出費が予定されている
- 借入額が大きく、金利が少し上がるだけで家計が苦しくなる
- 育休や転職、共働きの変化など、収入が不安定になる可能性がある
- 金利の動きを気にせず、返済額を確定させて安心したい
変動金利が向いている人
- 借入額が比較的少なく、返済期間が短い
- 手元資金に余裕があり、金利が上がったら繰り上げ返済できる
- 金利が1〜2%上がっても返済を続けられる家計の余力がある
- 金利の動向をこまめにチェックし、必要に応じて借り換えなどを検討できる
変動金利を選ぶ場合は、返済額の3〜6か月分程度を目安に生活防衛資金を確保しておくと安心です。また、変動と固定を組み合わせる「ミックスローン」で、リスクを分散する方法もあります。
金利以外にも比較したいポイント
住宅ローンを選ぶときは、金利だけでなく、事務手数料や保証料、団体信用生命保険(団信)の保障内容、繰り上げ返済の手数料なども含めた総返済額で比較することが大切です。金利が低く見えても、手数料が高ければ総額では割高になることもあります。
まとめ
変動金利は当初の返済額を抑えられる一方で金利上昇のリスクがあり、固定金利は金利が高めでも返済額が変わらない安心感があります。金利上昇局面の今は、「金利が上がっても返済を続けられるか」を基準に、家計の状況やライフプランに合わせて選ぶことが大切です。迷ったときは、金融機関や専門家に相談してみましょう。


